チベット仏教の教えから、自分の親が動物や虫に生まれ替わっているかもしれないと考えるブータンの人々は生き物の命を大切にします。だから牛や馬や野良犬さえも穏やかな顔つきで、人を怖がりません。牛たちは朝、自分の小屋から離されると、好きな場所に行って草を食べ、夕方になると自分の小屋に戻ります。「焼き印とかしなくても盗まれないの?」と聞くと、トンジェイは「誰が盗むんですか?」と聞き返しました。自分の意志で小屋に帰る牛たちの渋滞に出会いましたが、ドライバーのウグェンがいくらクラクションを鳴らしても一向に道を譲る気配はありませんでした。
町で豚を運ぶ業者にであいました。ブータンの人々は肉も食べますが、その肉はインドで殺した牛や豚を死んだ状態で輸入したものなのです。