左の建物は、ブータンで最も尊敬された外国人である西岡京治さんの御霊を弔うために、ブータン王国が立てたチョルテン(仏塔)です。 西岡さんは、「ブータン農業の父」と言われる方で、この方の農業振興策は、他に類を見ないほど確実にブータンに定着したと言われています。彼は、パロにある自分の畑の作物のできが良くて収穫量が多い理由を、パロの人々が聞きに来るまで教えなかったそうです。パロの人々が自分から、彼の畑のように作物を作りたいと思うようになってからは、彼の影響力は徐々に、しかし確実にブータン全土に広がり、今ではブータンの農業生産量は当時の約2倍になったそうです。1980年、彼は前国王から「国の恩人」として、民間人に贈られる最高の爵位・ダショーを授かり(唯一の外国人受爵)1992年にブータンで亡くなりました。チョルテンには、右の写真のように、ブータンの人々に対する、ひた向きな献身が讃えられています。パロの景色が何となく懐かしいのは、そこにある米がジャポニカ米だからかもしれません。

     

 山間部に住む人たちは、牛や山羊を飼って,チーズを作ります。できたチーズや果物を平野部の農家に持って行き、物々交換して野菜に換えるのだそうです。収穫量が上がった平野の人たちと比べると、現金収入が少ない貧しい暮らしとなっているようですが、彼らの表情が暗くないのはなぜなのでしょう。

     

 土日にたつ市場で材料を買って、昼ご飯を一緒に作りに農家のお母さんの所へ行きました。ブータンの食材は豊かではありません。右上の料理はチーズが入ってうまそうですが、緑色をしているのは唐辛子です。下の写真は、お母さ んが赤唐辛子を入れて最後の味付けをするところです。お母さんの携帯電話が鳴って料理が中断しました。冷蔵庫はなくても携帯はみんなが本当によく持っています。